受験を終えて 口試高級編
続いて口试(高级)についてです。
この口述試験に関しては、率直に言って、酷過ぎてあまり振り返りたくないのですが(汗)、戒めの意味も込めてご報告したいと思います。
まず、HSKの試験は、午前、午後、夕方、夜の4つのパートに分かれており、筆記4級と6級は午前、筆記5級は午後、口試中級は夕方、口試初級と高級は夜の部です。以下はHSK日本実施委員会のウェブサイトから引っ張ってきました。
試験時間
時間帯 |
試験 |
級 |
受付開始時刻 |
試験開始時刻 |
試験時間 |
A |
筆記(午前) |
2級 |
9:10 |
9:30 |
約65分間 |
B |
筆記(午後) |
1級 |
13:10 |
13:30 |
約50分間 |
C |
口試 |
中級 |
16:20 |
16:40 |
約41分間 |
D |
口試 |
初級 |
18:00 |
18:20 |
約37分間 |
つまり、当日、筆記6級と口試高級の両方を受けた私は、午後丸々空き時間となってしまいました。私は今回阪神の試験会場まで遠征しましたが、試験会場となった甲南大学岡本キャンパスでは食事ができませんので、駅近くにあるレストランで遅めの昼食を摂りました。
食後も暫くレストランに居ましたが、一人であまり長居もできませんので、ちょっと周辺をブラついた後会場の大学に戻ったのが午後3時。この時点で試験開始までまだ3時間もあります。こんなことならカフェで時間を潰してから戻るべきであったと少し後悔しましたが(笑)、口述試験なので少し喋る練習をしたいという思いがあり、結局、寒空の中、会場の外のベンチに座って参考書を読みながら準備していました。
ただ、それでも3時間は長かったです(笑)。
試験は18:00から受付が始まりました。
しかしながら、のっけから嫌な予感が的中しました。
まず、会場は午前に受けた筆記6級の時とまったく同じ階のまったく同じ教室でした。つまり、会話の試験であるにもかかわらず、一つの大きな教室で35、6名の受験生が一度に受験することになります。
口試は対面形式ではなく録音でやるということは事前にしっていましたが、流石に一人一人個別に実施するものだと思っていましたのでびっくりしました。口試の受験生は少ないですし、日本では3月と12月の年二回、しかも会場は東京、名古屋、阪神の3会場に限られていますので、てっきり視聴覚教室のような特別な場所を用いて実施するものだと思っていました。
実はそう思った理由は他にもいくつかります。まず、私は4級と5級を中国の同じ大学で受験しましたが、会場の教室には一人一人パソコン(試験では未使用)とヘッドホンが用意されており、听力(聴解)のときはヘッドホンから直接音を聞くことができるため、普段よりも更に集中して聴くことができました。
また、日本でTOEIC SWテストを2回受けたことがありますが、SWテストは通常のTOEICテストとは異なりPCを使って実施するため、必ず一人一台のPCとヘッドホンが用意されていました。確かTOEFLも同じだったと記憶しています。これらのテストを受験中は、周りの話す声が多少気になるものの、自分の試験に集中しようと思えば十分集中できました。
若干話が逸れましたが、午前の筆記6級も午後の口試高級も日本で受験するTOEICの時と同じく、教室前方にラジカセを置いてその音により実施されました。これ自体は大きな影響はありませんが、中国で受けた時と比べて受験環境が劣るのは明らかです。
いずれにしても、口述試験まで午前に受験した筆記6級と同じ環境、つまり、大部屋でみんな一緒にやるというのは衝撃的でした。一体どうやってやるのかと。
話を本編に戻します。
教室の入口で受付終了後、自分の席を探して着席しました。すると、すべての受験生に一つずつICレコーダーが用意されておりました。「なるほど、でも大丈夫か?」というのが率直な感想でした。
その後、18:20から説明が始まりました。
試験の準備段階として、ICレコードの操作方法と試し録音にかなりの時間を割いたあと、ようやく試験開始。試験中はずっと録音しっ放しでした。
第1题 - 第3题 听后复述
最初に30秒間ナレーションがあり、その後90秒の解答時間が与えられます。
基本的に聞いた内容をそのまま繰り返し言えば良いのですが、要約したり、要点だけ述べても大きな問題はありません。そして、問題を聞いている間は一切メモを取ってはいけません。これは最初に説明がありました。
ただ、実はこれ大問題でして、手元の2010年発行の参考書では、聞き取りながらメモを取って良いと書いてありました。
日本語でも相手が30秒もしゃべった内容を覚えるのは結構大変ですので、当初は後半の3問より難しと思いましたが、メモできるなら何とかなると思ってました。しかしながら、実際はメモは禁止。
結局ほとんど何もできず撃沈しました。
第4题 朗读
問題用紙に書かれている文章をそのまま読みます。解答時間は2分間。
ただ、初級や中級と違い、文章にピンインが書かれていませんので、読み方がわからない漢字は予測して言うしかありません。
その辺りの理由もあり、朗読の前に10分間の準備時間があります。この準備時間の間に朗読文章の確認と第5問と第6問の準備をします。例の手元の2010年の参考書には10分の配当時間の目安が書いてあり、第4問に2分、残り2問にそれぞれ4分が望ましいとありました。
今回、まず第4問において読めない字や難しい字にピンインを書き加えながら一通り読んだところ、なんとこの朗読の準備だけで4、5分も費やしてしまいました。残り2問に影響が出たことは否めません。
ちなみに、読めない字がある場合は、日本語の漢字と同じで、同じ部首が使われている違う漢字読みを当てはめれば良らしいです。ご参考までに。
ところが残念なことに、これだけ準備したにもかかわらず、すべて音読し終わる前に解答時間の2分が経過してしまいました。余裕で確実に発話していましたが、最後の1、2行が残ってしまいました。唯一高得点が狙えるパートであったために、最悪です。もう少し焦って話すべきでした。
第5题 - 第6题 回答问题
それぞれ1行~2行の質問が書かれており、各2分30秒の間に解答します。
参考書には、2分~2分15秒解答するのが良いと書いていました。これは準備されしっかりすれば恐らく大した問題はないと思います。朗読の前の10分間で、キーポイントとなりそうな単語を紙に書いておけばよいのです。しかも、試験ですので、実際にしゃべる内容はフィクションで構いません。
ところが、実際は1分程しか話すことができませんでした。
理由は複数あります。まぁほとんど言い訳ですが。。。
理由1:集中できない。
最初の方で書きましたが、教室内の35、6名の受験生が一度に喋ります。うるさいことこの上ないです。その中で、ある程度手元の紙に書いてあるとはいえ、自分が話そうとする内容を考えて話すというのは、かなりの集中力が求められます。しかも、会話ではなくスピーチです。これもレベルとしては全然違います。
理由2:周りのプレッシャー
私の場合は、恐らく集中できる環境であったとしても、今回はせいぜい1分半話すのが限界であったと思いますが、例え2分半話す実力があったとして、あの場でやり切るのは極めて困難です。
なぜなら、ほとんどの人が1分~1分半で話し終わるため、それ以上話す人は周りがシーンとして全員が聞き入っている中でひたすらしゃべり続ける必要があります。
私の前や横の人は私よりも早くしゃべり終わってましたが、後ろや少し離れたところでしゃべっていた人は、流暢で発音もよく(それを聞き取れていた時点で集中できていないのですが。。。)、確実に2分半しゃべり続ける実力があったと思います。ただ、彼らも2分を超えて話すことはありませんでした。あのプレッシャーの中で話すのは至難の業です。
このように考えると、ヘッドフォンとマイクを使って受験できるところと、このような大きな会場で受験するのとでは、こと口述試験に関しては結果が随分と変わってくると感じました。
ちなみに、前述しましたが、私は今回阪神の会場で受験しました。もし他の会場と条件が違ったら不公平だと思いましたが、いずれによ、もう日本で受験することもないので調べることはしません。
とにかく、今回わかったことは、聞く、読む、書くの3能力は最上級のレベルに手が掛っているかもしれませんが、話す能力に関してはとても高レベルとはいえないということです。
今回勘違いした最大の原因は、目安とされる単語数だと思います。口述試験はそれぞれ、
高級:3000語前後の一般常用語彙及びそれに相応する文法知識
中級:900語前後の一般常用語彙及びそれに相応する文法知識
初級:200語前後の一般常用語彙及びそれに相応する文法知識
となっています。
新HSK6級は5000語以上ですので、それを受験するレベルなら、3000語程度など余裕だろうと思っていました。
ただ、それは大きな間違いでした。
要は、話す場合は、読み書きなどする場合の半分か3分の1しか力を発揮できないということです。これは今回受験して初めてそう思いました。中級の内容を見て簡単過ぎると思うのは、読んでそう思うだけであって、実際に喋るとなると今のレベルでも十分難しと思います。
今の実力が新HSK6級の合格ラインだとすると、5000語×60%=3000語として、3000語÷3で1000語。まさに中級でちょうど良いレベルです。この口試に関して今回収穫があったとすれば、話す能力というものは、他の能力と比べてより一層の努力を要するということでしょう。
結果は一ヶ月後にネットで確認できますので、発表され次第ご報告したいと思います。